
公務員の業務って単調。あと数十年本当に続けられるのかな?

隣の部署はとても激務。ここに配属になったら心身ともにもたない気がする⋯
このように公務員として働き続けることに不安を感じている方はいませんか?
公務員は「安定」した職業の象徴です。しかし、公務員の方の中にはイメージとは対象的に、定年まで働くことに不安を覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身もそのような不安から、都道府県庁での事務職9年目に転職活動を行うことを決断しました。結果として、第一志望の大手SIerからの内定をいただくことができました。実際に転職するまでには、公務員の「安定」した身分を捨てることの是非について、腹落ちするまで考え抜きました。
そこで、公務員として働くことが本当に「安定」しているのか、私の実体験も踏まえて解説します。
この記事を通じて、公務員の「安定」について解像度を上がるはずです。これにより、事実に即して公務員と民間企業の比較ができるようになります。

読者の皆さんがご自身の価値観に合った人生を描けることを願い、この記事をお送りいたします!
安定している理由

公務員は一般的に「安定」した職業と言われます。その理由は以下のとおりです。
- リストラや倒産がない
- 給与や福利厚生が安定している
- 年金制度が比較的手厚い
- 社会的信用が高い
つまり、景気や業績に左右されず、雇用と収入が長期的に保障されるということです。これは紛れもない事実だと思います。
安定していない理由

世間から見た公務員の「安定」は、外からでも分かりやすい雇用と収入に着目した意見です。一方で、実際に働く上ではそれ以外の部分で「安定」とは言い難い要素があると考えています。その理由は以下のとおりです。
- 業務量の増加
- 限定的なキャリア
- 世間からの批判
- 働き方の制約
詳しく解説していきます。
業務量の増加
私自身、都道府県庁で9年間働く中で業務量が年々増加しているように感じました。その理由は、社会のあり方の急速な変化に伴い、行政サービスのあり方を改革する必要があったためです。例えば、私が働く中で以下のことを経験しました。
- ICT技術を活用した業務省力化の検討(人口減少による労働力不足への対応)
- 出先部署の外部委託化(人口減少に伴う税収減への対応)
- 新型コロナウイルスにかかる宿泊療養施設運営(災害等への対応)
これらの業務は負荷が大きい一方で、定数は削減傾向にありました。結果として、一人当たりの業務量が増加し、休職者が増え、更に業務量が増えるという負のスパイラルがありました。
限定的なキャリア
公務員は経験が長くなるほど民間企業への転職が難しくなります。業務の目的や専門性が特殊であるためです。
一方で、近年民間企業では終身雇用が崩壊しつつあり、個人が市場価値を高める時代になっています。社会のあり方が今後ますます変化していくことを加味すると、この流れはさらに加速していくと思います。
私自身は、30歳で民間企業への内定を得ることができましたが、35歳以降であればより難易度が上がっていたと考えています。このように、公務員で年次を重ねていくと、キャリアの選択肢が公務員のみに限定されていく傾向があります。
世間からの批判
公務員として働いていると、少なからず住民からの批判を受けることがあります。住民から見ると、税金から給料が支給されている上、未だに業務量が少ないイメージが残っているためです。私自身も以下のような経験があります。
- 首長の不祥事による1時間以上の電話でのクレーム
- 前任者のミスに対するクレーム
- 窓口での証明書発行権限がない方からの怒号
公務員への住民の目は入庁前に感じていた以上に厳しいもので、慣れるまでには多くの苦労がありました。公務員には何を言っても許されると思っている方は一定数いるため、批判とは継続的に付き合っていく必要があります。
働き方の制約
公務員は民間企業のような柔軟な働き方への対応が遅れる傾向があります。法律や規則を遵守する必要があり、労働環境改善への予算がつきづらいという背景があるためです。民間企業との主な違いは以下のとおりです。
- 端末の制約や業務の性質上、リモートワークが浸透していない
- 紙文書やはんこ文化が未だに根付いている
- 副業が認められていない
民間企業では働き方改革により労働環境が改善傾向であり、かつて公務員の強みであったライフワークバランスは、相対的に民間企業との差別化が難しくなってきています。
【まとめ】公務員の「安定」について今一度考えよう
公務員の「安定」について、私の実体験も踏まえて解説しました。
安定している理由は、以下のとおりです。
- リストラや倒産がない
- 給与や福利厚生が安定している
- 年金制度が比較的手厚い
- 社会的信用が高い
一方で、安定していない理由は、以下のとおりです。
- 業務量の増加
- 限定的なキャリア
- 世間からの批判
- 働き方の制約
雇用や収入に着目すると安定している理由が挙がりますが、実際に働く上でのリアルな視点で考えると安定とは言い難い理由も存在します。この記事が、公務員として働くことについて今一度深く考えるきっかけになりましたら幸いです。